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個人事業主におすすめの年金対策と節税!

個人事業主は確定申告して、課税所得に応じた所得税を納付しなくてはいけません。できるだけ節税したいと考える方が大半でしょう。
脱税は違法なため、追徴課税などにより通常より多くの税金を納めなくてはいけなくなりますが、節税は税務制度にのっとって税金を減らす方法です。
本記事では、個人事業主におすすめの節税方法を解説します。節税方法を探している個人事業主の方は、ぜひ参考にしてください。

節税の基本を知ろう

節税すると納めるべき税金の金額を減らせますが、方法を間違えると脱税とみなされます。まずは節税の基本的な知識を身につけましょう。

脱税とは

脱税とは売上を少なく申告したり、架空の経費を計上したりして、課税を不法に免れようとする行為です。計算ミスなどにより納税額を少なく申告した場合、悪質性が低ければ申告漏れとみなされますが、意図的だと判断された場合は脱税とみなされ、ペナルティーが課せられます。
ただし、申告漏れであっても過少申告税や無申告加算税が加算されることがあるため注意が必要です。

節税とは

節税は法律で定められた範囲の制度や控除などを利用し、合法的に税負担を軽減するものです。控除を用いたり、経費を適切に計上したりすることが節税につながります。

お金の残らない節税に注意

経費と控除の金額が増えると課税対象の所得が減るため納付すべき税金が少なくなります。しかし、節税のために支出を増やしすぎると手元の現金が減ってしまうため、何のための節税かわからなくなります。お金が残らなくなるような節税には、注意が必要です。

経費に計上できるのは事業に関する出費のみ

法人と個人事業主では、経費にできる範囲が異なります。個人事業主が経費に計上できるのは、事業に関係する出費です。私的な出費は経費として認められないため、注意しましょう。
自宅の一部を事務所にしている場合、家賃や光熱費などを全額経費にはできません。携帯電話やインターネットのプロバイダー料金、自動車など事業とプライベートの両方で使用している経費も同様です。
このようなプライベートでの使用と事業での使用が混在している出費は、家事按分で事業に使用した経費を算出して経費計上できます。家事按分の割合は決まっていませんが、税務署から説明を求められたとき、明確な根拠を示せるようにしておきましょう。

個人事業主が使える節税メリットのある制度

個人事業主が節税のために使える制度があります。活用できるものがあれば活用して、上手に節税しましょう。

青色申告特別控除

原則として個人事業主は確定申告が必要です。申告方法には白色申告と青色申告があります。
白色申告は簡易帳簿でよいため確定申告も簡単です。しかしながら、税制上の優遇はありません。
一方、青色申告は最大で65万円の控除があるうえ、赤字を3年間繰り越しできることや、30万円未満の減価償却資産を一括経費にできるなどのメリットもあります。赤字の繰り越しを行えば黒字化したときに相殺できるため、高い節税効果があります。
ただし、青色申告は複式簿記で帳簿をつける必要があり、確定申告の際は貸借対照表や損益計算書の提出が必要です。青色申告でも単式簿記で記帳する場合は10万円の控除となります。
65万円の控除を受けるには、複式簿記の記帳に加えて、決められた期限までにe-Tax(イータックス)による申告または電子帳簿保存が必要です。複式簿記による記帳でも、e-Taxによる申告または電子帳簿保存を行わない場合は55万円の控除となります。
白色申告している人は、青色申告に切り替えることで青色申告特別控除が受けられます。青色申告者になるには、所轄の税務署へ「個人事業の開業・廃業等届出書(開業届)」と「所得税の青色申告承認申請書」の提出が必要です。

青色事業専従者制度

青色事業専従者制度とは、個人事業主のもとで働く家族に給料を支払える制度です。青色事業専従者とは、次の要件に当てはまる人です。

  • 青色申告者と生計を一にする配偶者その他の親族であること。
  • その年の12月31日現在で年齢が15歳以上であること。
  • その年を通じて6月を超える期間(一定の場合には事業に従事することができる期間の2分の1を超える期間)、その青色申告者の営む事業に専ら従事していること。

引用元:事業専従者給与とは(青色申告の場合)│国税庁

家族を青色事業専従者にした場合、家族への給与は経費になるため節税効果があります。ただし、配偶者控除や扶養控除などは対象外になるので注意しましょう。
青色事業専従者給与として認められるには、「青色事業専従者給与に関する届出書」を納税地の所轄税務署長に提出する必要があります。届出書に記載のとおりの支払い方法で支払い、記載している金額の範囲内で支払う必要があります。労務の対価として過大な金額は、必要経費とはならないため注意しましょう。

iDeCo

iDeCoは毎月掛金を払って自分で投資信託などで運用し、老後資金を準備する制度です。掛金は全額所得控除の対象となるため、高い節税効果があります。運用によって得た利益は通常税金がかかりますが、iDeCoの場合は非課税で受け取れます。
iDeCoで拠出した資金は60歳以降に受け取れますが、年金として受け取る場合は「公的年金等控除」、一時金で受け取る場合は「退職所得控除」の対象です。拠出時だけでなく受け取るときも所得控除が受けられるため、節税したい個人事業主にとってメリットが大きいです。
iDeCoの毎月の拠出額は、職種によって上限が異なります。個人事業主は月額68,000円なので、年額816,000円まで可能です。ただし、「国民年金基金」や「国民年金の付加保険料」を納めている場合は、それらとの合算金額が月額68,000円までです。
このようにiDeCoは掛金、運用利益、受取時に税の優遇がありますが、原則として60歳まで資産を引き出せません。まとまったお金が必要になっても途中解約できないため、無理のない金額で始めましょう。

小規模企業共済

小規模企業共済は、小規模企業の経営者や役員、個人事業主などのための積み立てによる退職金制度で、国の機関である中小機構が運営しています。個人事業主は会社員のように退職金がありませんが、小規模企業共済に加入して積み立てておけば、廃業時等に共済金を受け取れるので安心です。
小規模企業共済は月々の掛金を確定申告時に全額所得控除できるため、高い節税効果があります。共済金を受給するときはサラリーマンと同様に退職所得扱いになるため、こちらも税制メリットがあります。掛金は月額1,000円~70,000円まで500円単位で選べて、増額や減額も可能です。次の章ではこの小規模企業共済について深掘りしていきます。

節税をはじめ多くのメリットが期待できる「小規模企業共済」

個人事業主が節税のために使える小規模企業共済には、さまざまなメリットがあります。実際にどのようなメリットがあるか紹介します。

将来のために退職金を備えられる

会社員や公務員は退職金制度がありますが、個人事業主にはありません。将来廃業した後の生活費が心配になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。小規模企業共済は毎月一定の掛金を積み立てる退職金制度です。
6か月以上納付すれば事業を廃業したときや、契約者の方が亡くなられた場合に共済金が出ます。将来のために退職金を備えておけることが小規模企業共済のメリットです。

掛金は確定申告で全額所得控除できる

小規模企業共済の掛金は、確定申告で全額所得控除できます。例えば、掛金を上限の70,000円にした場合、課税される所得金額が400万円であれば241,300円、600万円であれば255,600円の節税になります。
税制の優遇があるのは、積み立て時だけではありません。共済金を一括で受け取る場合は退職所得扱い、分割で受け取る場合は公的年金等の雑所得扱いになるため、受け取るときも税制上のメリットがあります。

掛金は増額や減額が可能

小規模企業共済の掛金は、月額1,000円から70,000円まで500円単位で選べます。途中で増額や減額もできるため、経済状況に合わせて掛金を変更できる点も小規模企業共済のメリットです。
小規模企業共済は退職金制度であるため12か月未満で解約した場合は掛け捨てになり、納付月数が240か月(20年)未満で任意解約すると元金割れします。
ただし先述の通り掛金を月額1,000円から設定できますので、状況に応じて掛金を調整しながら継続して積み立てていくことが可能です。
一方、余裕があれば増額も可能です。掛金を増額すれば将来受け取れる共済金の金額が増えるだけでなく、掛金の全額所得控除によって節税効果が高まります。

低金利の貸付制度を利用できる

小規模企業共済の加入者は、もしものときに事業資金等を低金利で借り入れできる低金利の貸付制度を利用できます。
経済環境の変化で資金繰りが困難になったときに利用できる「緊急経営安定貸付け」や、疾病・負傷による入院などの際に利用できる「傷病災害時貸付け」など、借り入れの目的が限定された貸付けは、掛金の範囲内で50万円以上1,000万円以内の金額を年利0.9%で借り入れできます。
一方、もしものときに迅速に事業資金を借り入れできる「一般貸付け」は、10万円以上2,000万円以内の金額を、年利1.5%で借り入れられる制度です。金利が低いため、事業資金の借り入れが必要になったときに安心して利用ができるでしょう。

まとめ

個人事業主が節税するには、まずきっちりと経費を計上することが大切です。経費が増えたら課税対象の所得が減るため、節税になります。しかし、節税のために不要な出費を増やすと手元に残る現金が減ってしまうため、本末転倒です。経費として認められるものは漏れなく経費計上して、正しく節税しましょう。

そのうえで青色申告控除や小規模企業共済など、個人事業主が節税のために利用できる制度を利用すると、高い節税効果が得られます。自分に合った方法で上手に節税しましょう。

また税制上の恩典について多く知りたい方は、お近くの税理士の方にも相談することをおすすめいたします。