役員退任時にいくら受け取れる?
小規模企業共済の共済金について説明します

小規模企業共済は、小規模企業の役員、個人事業主や共同経営者が廃業や役員退任時に備えて準備しておくための退職金制度です。

将来受け取れる共済金の額は、掛金月額や納付月数、共済契約者の地位などによって異なります。本記事では小規模企業共済の共済金の計算方法や、役員を退任したときの手続き方法などについて解説します。

小規模企業共済の基本的な仕組み

小規模企業共済は、小規模企業の役員、個人事業主や共同経営者が、廃業や退職時のために準備しておくための退職金制度です。掛金が全額所得控除で将来への備えができるため、全国で約169万人(令和7年3月末時点)の方が加入されています。
掛金は月額1,000円〜70,000円まで500円単位で設定できるほか、加入後に増額や減額も可能です。確定申告の際に掛金の全額を課税対象所得から控除できるため、税制メリットがあります。

役員退任時に共済金を受け取るときのポイント

共済金 (退職金)は一括でも分割でも受け取れます(※)。また、一括と分割の併用も可能です。一括で受け取る場合は退職所得扱いになり、分割で受け取る場合は公的年金等の雑所得扱いになるため、税の負担が軽減されます。

  • ※ただし分割で受け取る場合には、請求事由、年齢、金額等一定の要件を満たす必要があります。

共済金の計算方法

基本共済金とは、掛金月額、掛金納付月数に応じて、共済事由ごとに小規模企業共済法施行令で定められている金額です。小規模企業共済では、共済契約者の地位や共済金等を請求する理由(共済事由)によって4つの共済事由に分けられ、それぞれ共済金等の金額が異なります。

共済金等の種類(共済事由) 会社等役員
共済金A(A共済事由)
  • 会社等が解散した場合
共済金B(B共済事由)
  • 病気やけが、または65歳以上で役員を退任した場合
  • 共済契約者が亡くなられた場合
  • 老齢給付(※1)
準共済金(※3)(準共済事由)
  • 病気、けが以外の理由、かつ65歳未満で役員を退任した場合
解約手当金(※3)(解約事由)
  • 任意解約
  • 機構解約(※2)

65歳以上で180か月以上掛金を納付された方

掛金を12か月以上滞納した場合

準共済金・解約手当金の「請求事由」が生じた場合であっても、掛金納付月数が12ヶ月未満の場合は、準共済金・解約手当金はお受け取りいただけません。掛金納付月数が12ヶ月以上の場合でも、準共済金、解約手当金の給付額は、掛金合計金額を下回る場合があります。

引用元:共済金額等の請求事由とは│小規模企業共済(中小機構)

小規模企業共済制度は、掛金の納付月数と共済事由によって受け取れる基本共済金が規定されています。
掛金月額1万円で加入した場合、共済金等の受取金額は、以下の通りです。

掛金納付年数 5年
(掛金合計額:600,000円)
10年
(掛金合計額:1,200,000円)
15年
(掛金合計額:1,800,000円)
20年
(掛金合計額:2,400,000円)
共済金A 621,400円 1,290,600円 2,011,000円 2,786,400円
共済金B 614,600円 1,260,800円 1,940,400円 2,658,800円
準共済金 600,000円 1,200,000円 1,800,000円 2,419,500円
解約手当金 480,000円 1,020,000円 1,665,000円 2,400,000円

上表は基本共済金のお受取例です。

「予定利率」は経済情勢や金利水準等が大きく変化した場合には、将来収支見通し等に基づく検討がなされ、変更される場合があります。

共済金A・共済金B・準共済金の額は、源泉徴収前の共済金等の額です。したがって掛金月額、契約期間によっては、手取り額が掛金合計額を下回る場合があります。

引用元:共済金額等の請求事由とは│小規模企業共済(中小機構)

掛金納付月数が240か月(20年)未満で任意解約した場合、解約手当金は掛金合計額を下回ります。
加入期間が240か月以上であっても、途中で増額や減額した場合で掛金区分ごとの掛金納付月数が240か月を下回るときは任意解約した場合に受け取れる解約手当金が掛金合計額を下回ることがあります。

税制面での優遇措置

小規模企業共済は、掛金の納付時や共済金の受取時に税制面での優遇があります。掛金は全額所得控除の対象です。ただし、共済金を受け取るときは、受取方法によって税法上の取り扱いが異なります。

  • 共済金や準共済金を一括で受け取る場合…退職所得扱い
  • 共済金を分割で受け取る場合…公的年金等の雑所得扱い
  • 共済金を一括・分割併用で受け取る場合…一括分は退職所得扱い、分割分は公的年金等の雑所得扱い

任意解約や共同経営者が任意退任する場合、年齢によって税法上の取り扱いが異なります。任意解約する方や任意退任する共同経営者が65歳以上の場合は退職所得扱い、65歳未満の場合は一時所得扱いです。なお、共済契約者が死亡したことにより遺族が共済金を受け取る場合(死亡退職金)、相続税法上「みなし相続財産」として相続税の申告が必要です。

役員を退任して共済金を受け取る場合の手続き

会社等役員を退任して共済金を受け取る場合の手続きは、書類に記入し中小機構に郵送する(または中小機構の業務を取り扱っている委託団体や金融機関を通して提出する)手続きと、オンライン手続きの2種類があります。

ここでは、郵送手続きについてご紹介します。
オンライン手続きや他の請求事由などの場合は、必要書類や手続き方法が異なりますので、詳しくは下記のリンクをご確認ください。

共済サポートnavi 「共済金等請求手続き」→ 「手続きの流れ」
https://kyosai-web.smrj.go.jp/customer/skyosai/claim/flow/

1.必要書類を入手する

共済金の受け取りには次の書類が必要です。

  • 共済金等請求書(様式 小 701)
  • 履歴事項全部証明書(商業登記簿謄本)
  • (病気や怪我による退任の場合)医師による診断書
  • 印鑑登録証明書
  • 共済契約締結証書
  • 退職所得申告書
  • マイナンバー(個人番号)確認書類

印鑑登録証明書は発行後3か月以内の原本、履歴事項全部証明書(商業登記簿謄本)は役員退任登記済みのもので、交付後3か月以内の原本を用意してください。

医師による診断書は、退任の原因となった病名と就業できない旨が記載されたものが必要です。

「共済金等請求書(様式 小 701)」「退職所得申告書」は、中小機構に資料請求をしてください。請求事由が生じた年、または前年4年以内に他から退職手当金を受け取っている場合は、その退職手当金の源泉徴収票の添付が必要です。

資料請求はこちら
https://kyosai-web.smrj.go.jp/customer/skyosai/format/index.html

2.書類へ記入する

中小機構から送付される「共済金等請求書(様式 小 701)」と「退職所得申告書」へ記入、捺印してください。なお、共済金をすべて分割で受け取る場合、「退職所得申告書」の提出は必要ありません。

3.金融機関の窓口へ請求書を提示する

共済金の受け取りを希望する口座のある金融機関の窓口で「共済金等請求書」を提示し、口座の確認印をもらってください。

4.中小機構へ送付する

マイナンバー確認書類は機構から送付された「マイナンバー確認書類専用封筒」に入れ封緘後、すべての必要添付書類を中小機構宛に郵送してください。マイナンバーが記載された書類もあるため、紛失などが心配な方は、追跡サービスが利用可能な簡易書留などで送付した方がよいでしょう。

5.共済金の受け取り

審査が完了すると、指定した口座に共済金が振り込まれます。振込までにかかる期間は約3週間ですが、書類不備がある場合などはさらに時間がかかることもあります。

6.中小機構からの通知書を受け取る

中小機構から「支払決定通知書兼振込通知書」が届きます。

退任後、新たに事業を行う場合(同一人通算手続きが可能な場合)

法人の役員を退任して新たに事業を行う場合、以下の条件を満たすことで掛金納付月数の通算が可能です。

  • 次の個人事業または法人が小規模事業者である
  • 退任から新たな事業を行うまで1年以内である
  • ※退任から1年以上経過すると、通算手続きができなくなり、共済金の請求のみ可能となりますのでご注意ください。

掛金納付月数の通算をする際には、書類に記入し窓口に提出する手続きと、オンライン手続きの2種類があります。ここでは、窓口で行う手続きについてご紹介します。

オンライン手続きについては、下記のリンクをご確認ください。

共済サポートnavi 「掛金納付月数の通算(同一人通算)」→ 「手続きの流れ」
https://kyosai-web.smrj.go.jp/customer/skyosai/succession/flow/

1.必要書類を入手する

手続きに必要な書類は変更の種類によって異なります。

【個人事業主になった場合】

  • 退任後等の履歴事項全部証明書(商業・法人登記簿謄本)
  • 新事業の開業届の控えまたは確定申告書の控え【提示書類】
  • 納付月数通算申出書兼契約申込書(同一人通算用)(様式 小 141)

履歴事項全部証明書(商業・法人登記簿謄本)は、法人が解散・破産した場合、その事実がわかるもの、役員を退任した場合は退任の事実がわかるものが必要です。交付後3か月以内の原本を用意してください。

新事業の開業届の控えまたは確定申告書の控えは、税務署に提出した個人事業の開業届の写しや事業の許認可を行う官公署の長または知事等に対する開業の届出書または承認書の写しが必要です。

e-Taxで申告した場合は、申告後に送付される「メール詳細」(受信通知)が必要です。納付月数通算申出書兼契約申込書(同一人通算用)は、以下の方法で入手できます。

  • 電話
  • ホームページ上の専用フォーム
  • 資料送付請求書をダウンロードしてFAX

【法人の役員になった場合】

  • 退任後等の履歴事項全部証明書(商業・法人登記簿謄本)
  • 新たな法人の履歴事項全部証明書(商業・法人登記簿謄本)【提示書類】
  • 納付月数通算申出書兼契約申込書(同一人通算用)(様式 小 141)

履歴事項全部証明書(商業・法人登記簿謄本)は、法人が解散・破産した場合はその事実がわかるもの、役員を退任した場合は退任の事実がわかるものが必要です。交付後3か月以内の原本を用意してください。

新たな法人の履歴事項全部証明書(商業・法人登記簿謄本)は、法人の役員に就任したことが確認できるもので、交付後3か月以内の原本が必要です。

納付月数通算申出書兼契約申込書(同一人通算用)は、電話、ホームページ上の専用フォーム、資料送付請求書をダウンロードしてFAXのいずれかを利用して入手できます。

【共同経営者になった場合】

  • 退任後等の履歴事項全部証明書(商業・法人登記簿謄本)
  • 個人事業主が提出した開業届の控え、または個人事業主の確定申告書の控え【提示書類】
  • 個人事業主と締結した共同経営契約書の写し【提示書類】
  • 個人事業主からの報酬の支払い事実が確認できる書類【提示書類】

履歴事項全部証明書(商業・法人登記簿謄本)は、法人が解散・破産した場合はその事実がわかるもの、役員を退任した場合は退任の事実がわかるものが必要です。交付後3か月以内の原本を用意してください。

個人事業主の開業届の控えまたは確定申告書の控えは、税務署に提出した個人事業の開業届の写しや事業の許認可を行う官公署の長または知事などに対する開業の届出書または承認書の写しが必要です。

e-Taxで申告した場合は、申告後に送付される「メール詳細」(受信通知)が必要です。
個人事業主と締結した共同経営契約書に指定様式はありません。小規模企業共済のホームページに掲載されている作成例を参考にしてください。

共同経営者の共同経営契約書の作成例(共同経営者が2人の場合)│小規模企業共済(中小機構)

事業資金の負担や出資を確認できる金銭消費貸借契約書や出資契約書の写しでも代用できます。
個人事業主からの報酬の支払い事実が確認できる書類は、以下のいずれかが必要です。

  • 社会保険の標準報酬月額通知
  • 青色申告決算書
  • 白色申告決算書および賃金台帳
  • 国民健康保険税・介護保険料簡易申告書等

また、共同経営者として加入する場合は、納付月数通算申出書兼契約申込書(同一人通算用)に新たな個人事業主が署名する欄があります。
納付月数通算申出書兼契約申込書(同一人通算用)は、電話、ホームページ上の専用フォーム、資料送付請求票をダウンロードしてFAXのいずれかを利用して入手してください。

2.書類へ記入する

所定の書類に必要事項を記入してください。通算を申し出る際には以下の内容を確認・同意のうえ、申出書の「加入資格および制度説明の確認」欄に署名が必要です。同意がない場合は通算の手続きができません。

  • 掛金納付月数の同一人通算手続きに関わるご説明
  • 小規模企業共済契約約款
  • 独立行政法人中小企業基盤整備機構反社会的勢力対応規程(抜粋)
  • 小規模企業共済制度反社会的勢力対応要領(抜粋)

3.窓口へ提出

小規模企業共済の業務を委託している団体または金融機関の窓口に、書類を提出してください。

4.中小機構から書類を受け取る

手続き完了後、中小機構から「納付月数通算(同一人)手続き完了のお知らせ」と「契約内容確認書」が送付されます。必要な要件を満たしておらず、通算申請が引き受けられない場合は、拒絶理由を付して添付書類が返却されます。

役員を退任しなくても共済金を受け取ることができる場合

15年以上掛金を納付されている65歳以上の方に関しましては、役員を退任しなくてもご希望に応じて、請求事由「老齢給付」により共済金を請求することができます。

体が動くうちは退任せずに仕事を頑張りたいと考えられている方にとっても、お仕事を続けながら共済金を受け取る選択肢がありますので安心です。

まとめ

小規模企業共済は、基本的には長期にわたって掛金を積み立てるものですが、6か月以上掛金を納付すれば(※)共済金を受け取れるため安心です。

※共済事由A・Bの場合のみ。その他の事由においては、掛金納付月数が12ヶ月未満は掛け捨てとなります。また解約手当金は、掛金納付月数が240ヶ月未満のとき、掛金合計金額を下回ります。

掛金は全額所得控除の対象となり、共済金を受け取るときも税制上の優遇を受けながら老後や役員退任時への備えができます。法人の役員の方は、将来に備えて小規模企業共済への加入を検討してはいかがでしょうか

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お役立ち記事

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共済金試算
シミュレーション

将来受け取れる共済金と所得控除額を試算できます。
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加入者の声

  • 低金利の貸付制度利用

    居酒屋「侘助」オーナー
    業種:飲食業

    将来必要になる費用を貯めておきながら、税制優遇を受けられるのが、この共済を始めた理由です。
    ただそれだけでなく、経営が厳しいときに、低金利の貸付けを受けられて助かったこともメリットです。

  • 創業→即加入はメリット大

    YMS(ワイエムエス)
    業種:小型船舶の修繕、メンテナンス、販売​

    商工会の担当者にすすめられて、創業当初から加入しています。将来使える資金を積み立てながら、毎年税額控除が受けられるので、とても助かっています。創業する人は知らないと損になるので、一度は話を聞いてもらいたいです。

  • 安定的な積み立て

    フリーランスエンジニア
    業種:情報通信業

    退職金がないフリーランスが老後の資金を形成できる制度はいくつかあるが、他のサービスに比べ順当に貯まっている安心感があります。掛金の払い込みが長いほど有利なので、まずは1,000円からでも加入をお勧めします。

  • 掛金設定の自由さ

    ヘアーサロンJ
    業種:生活関連サービス業

    加入にあたって、国の機関が運営しているので心配はありませんでした。どのくらいの掛金を設定するかは、悩むポイントでしたが、フレキシブルに変更できるので安心です。
    決まった額じゃなくて自分で設定でき、オンラインで変更できるのは便利です。

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